テルトニカ・ネットワークスが独自にカスタマイズしたOpenWRT – 「RutOS」。研究開発スタッフは、当社の主力商品の一つであるこの「RutOS」を常に改善していく、という使命を背負い日々努力を続けております。今回その努力の結晶として、最新バージョンである「RutOS 7.03」をご紹介できる運びとなりました。新しい年の始まりとともに、新しく改良されたオペレーティングシステムの機能を一挙にご紹介させていただきます。

さらに高度なセキュリティを搭載

私たちの使命は、当社デバイスをご利用されるクライアント様に、セキュリティに関して絶対的な安心感をご提供することです。そのために、常にシステムのセキュリティを向上させ、外部からの脅威に対応できるよう模索してまいりました。RutOSの最新バージョンでは、その成果がさらに発揮できたのではないか、と考えております。

今回、MQTTやPost/Getサービスに対するブルートフォース防止機能のサポート、SSHセッションのタイムアウト、OpenSSH SFTPのサポートなど、多くのセキュリティアップグレードを追加致しました。また、パスワードのハッシュ化アルゴリズムもMD5からSHA512に更新しております。

「OPC UA」、「BACNET」および「NTRIP」

今回、当社の研究開発チームによって「RutOS」にOPC UA、BACnetおよびNTRIPという3つの重要なプロトコルが新しく実装されました。

まず「OPC UA」プロトコルでは、さまざまな産業用機器とクラウド等のシステム間におけるデータ交換が可能になります。 ほとんどのプラットフォームが「OPC UA」プロトコルをサポートしているため、今回「RutOS 7.03」にもこのプロコトルが追加されたことで、クライアント様にとってより柔軟で相互接続性が高く、拡張性の高いシステムを実現できるようになりました。 また、 ソリューション機器間で、規模に関係なく均一な情報交換が可能になります。「産業・オートメーション」および「エネルギー・公共事業」分野に携わる方々にとって、特に関連性の高いプロトコルといえるかと思います。

二つ目の「BACnet」は、ビルディング・オートメーション機器が他のオペレーティングシステムや制御システムに切り替えることなく、データを交換できるようにするデータ通信プロトコルです。この「BACnet」がなかったころは、特定のサービスに対応する機器同士に互換性がなく、データ収集がより高価で複雑だったことを考えると、これは大きな進歩といえるかと存じます。このプロトコルは、当社製品のTRB142、TRB145、TRB2シリーズ、RUT955、RUT956デバイスに装備されています。

最後に「NTRIP」 プロトコルも新しい RutOS 7.03 バージョンで利用できるようになりました。このプロトコルのおかげで、当社のデバイスを使用した際に、より高い座標精度でGNSSデータのストリーミングを実現することができるようになります。ファーム・オートメーションの実現を目指す農業分野などの産業にとって、特に重要な機能になってくるかと存じます。このプロトコルを使用することで、当社のGPS搭載機器が、自律走行型トラクターや播種ロボットなどの機器間で遠隔監視やデータ転送を行うことが可能になります。

RUTOSの多言語化も進んでいます

これまでの英語とドイツ語対応のみだった「RutOS」ですが、最新バージョンの7.03には新しい言語が追加されました。 

様々な言語で「RutOS」のご利用ニーズが増えていることを鑑みて、より使いやすいシステムにするために、トルコ語、スペイン語、ポルトガル語バージョンを制作させていただきました。「RutOS」の最新バージョンでは、3つの新しい言語の追加に加えて、ドイツ語版も改訂致しました。

さらに、近日中に「RutOS」は日本語にも対応させていただくことになりました!日本語話者のクライアント様にとってさらに利用しやすい環境になることで、当社をより身近に感じていただければ、と期待しております。

違いを生む細部へのこだわり

お客様からのご要望を鑑み、今回のアップデートから「RutOS」にメールリレーパッケージを追加することにいたしました!このパッケージでは2つの機能をご提供させていただきます。ひとつめはルータのメールサーバーとしての機能(小規模なオフィスソリューションに最適です)です。ふたつめは、プロキシサーバーとして、クライアント様のネットワークとインターネットの間の仲介役となる機能です。受信と送信の電子メールトラフィックをフィルタリングし、事前に設定されたルールに基づいて、各メールを拒否または転送することが可能となります。

「RutOS 7.03」に追加されたもう一つの機能として、登録ユーザー管理のための新しいHotspotのページもございます。このページから、現在ログインしているエンドユーザー様に関するすべての情報を確認できるようになり、必要に応じてユーザーリストからの登録を解除することができるようになりました。このアップデートは、当社のWi-Fi機能を持つデバイスに追加されております。

またHotspotに関連しましては、RutOS最新バージョンで、RUT300、RUTX08、RUTX09がHotspot機能を取得しております。

特記事項

  • 今回のバージョンの「RutOS」バージョンから、当社デバイスに基本的なJavaアプリケーションにインストールすることができるようになりました。このアップデートはまだ初期段階ではありますが、システムのカスタマイズの可能性をますます広げるものとして期待いただければと存じます。
  • 「RutOS 7.03」のアップデートにより、FTPサーバーサポートのセキュリティがさらに向上いたしました。今回の改善をふまえて、このセキュリティ機能を「Secure File Transfer Protocol(略してSFTP)」と改称することに決定いたしました。
  • クライアント様からの強いご要望により、Firewall DMZのページを改良いたしました。これまで以上にポートフォワーディングの確立が容易になったかと存じます。
  • 以前のバージョンの「RutOS」には、TCP、シリアルマスター、TCPスレーブという3つのModbusプロトコルが含まれておりました。今回これに加えて新たにModbus RTUスレーブプロトコルを追加することとなりました。このプロトコルにより、マスターデバイスはスレーブデバイスからより高速に、また効率的にデータを収集することが可能となります。

最新バージョンの「RutOS」によって、当社が来たる年に予定しているプロジェクトおよびソリューションの実現を後押しする、新たな実装の可能性と管理能力の向上を目指してまいります!

変更点の全リストと変更履歴については、Wikiナレッジベースで各製品名の下にあるFirmware Downloadsを選択してください。 

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